2013年1月12日土曜日

十月通信 一月号

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      「十月通信」  2013. 01.10 第065号

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 みなさま、あけましておめでとうございます。
 今年は、元旦から富士山がくっきりと、そのあでやかな白無垢の姿を見せて
新年早々のパノラマショーのようでした。やはり富士山は良いですね。この山
が噴り狂うことのないように祈るばかりです。
 私は相も変わらず箱根駅伝を観ての寝正月で、暮れの疲れは殆ど取れました。
 みなさんはどんなお正月を過ごしましたか。去年より階段2段ぐらい高い所
に眼を据えて、前を向いて生きてゆきたいですね。

 さて、今月のわたしの歌。
 ♪ ひよこ色のイチョウ脱ぎ捨て歌舞伎町呼び込み人はナイジェリア人
 ♪ 青年の誕生月にやって来たあまりに早い母のそのとき
 ♪ 今年こそ是非今年こそ飲みましょう! 賀状宴会またことしこそ

 新宿の歌舞伎町には立派な銀杏の街路樹が並んでいて、秋には、それはそれ
は美しい黄色い葉がひらひらと舞ったり踊ったり、ネオンに輝いています。夜
には白いツリーの電飾の中に、夜陰に紛れるように、風俗呼び込みのアフリカ、
ナイジェリアの男性が闊歩していて、一見、アフリカのどこかの国の首都に銀
杏が根付いているかのようです。
 知人の青年の母上が治療の甲斐無く、ご主人の待つ異国へ旅だってしまいま
した。療養中とは聞いていましたが、「えっ!」という程早技でした。送ると
き、青年は優しく清楚な母を語り、堂々としていて誇らしい限りでした。
 毎年、賀状だけが身代わりのように行き交っていますが、いつも「ことしこ
そ飲みましょう!」なんて言ってます。


■【好きな歌】
● ……………………………………………………………………………………… ●

 ♪ 忘れ草我が紐に付く香具山の古りにし里を忘れむがため
                      大伴旅人「万葉集」巻三

 忘れ草を私の腰ひもに付けてみた。香具山のあたりのあの懐かしい古里をわ
すれられるように、といったところでしょうか。「万葉集」に望郷の歌をさが
していたら、旅人の歌がみつかりました。
 遥か遠い昔でも故郷を思う気持は同じです。忘れんとするとは、決して忘れ
ないということですね。

 旅人には、「万葉集」巻三に、やはり望郷の、次のような歌がありました。
 ♪ 我が行きは久にはあらじ夢のわだ瀬にはならずて淵にてありこそ
 ♪ 我が盛りまた若ちめやもほとほとに平城の都を見ずかなりなむ
 私の旅は長い旅にはならないだろう。夢のわだよ、浅瀬などにはならず、深々
とした淵のままでいてくれ。故郷よ、変わらないでいてくれ。
 若い盛りの時代がまた返ってくるなんてことがありえようか。ひょっとしたら
平城の都を見ないままになってしまうのではあるまいか。


■【「Bar十月」作品展】
● ……………………………………………………………………………………… ●
◎熊谷直樹写真展「高ボッチの朝」 4日(金)~15日(火)
 長野県塩尻市の高ボッチ高原は、熊谷さんの故郷から近い。朝靄に包まれた
高原の道や、朝日が出てくる前の山の稜線がとてもきれいです。

 ▼1月後半は、
  ◎津布久智士写真展「NOWHERE」 16日(水)~31日(金)
   おもにポルトガルの街、路地や坂を撮った写真を展示します。いつかど
  こかで見たような‥‥。

 ▼2月は、
  ◎前半は、多賀谷無人作品展 2月1日(金)~15日(金)
  ◎後半は、田中一光写真展 2月16日(土)~28日(木)


■【おしらせ】
● ……………………………………………………………………………………… ●
 恒例の「お座敷列車で雪見酒?の旅」(粧企画) 2月3日(日)決定。
 10時JR新宿駅出発~20時新宿駅着。コースはミステリー、?駅で約3
時間停車、自由行動(温泉近し!)。車両は、リゾートエキスプレス「ゆう」
全6輌貸切。
 十月メンバー参加費は少々割り引きあり。詳細は店内の掲示をご覧下さい。


■【日本酒の会】
● ……………………………………………………………………………………… ●
 1月の日本酒の会は、「大分県のお酒」です。
 候補酒は、西の関(国東市)、千羽鶴(竹田市)、一の井手(臼杵市)、宗麟
(臼杵市)、薫長(日田市)、八鹿(玖珠郡九重町)、民潮(宇佐市)、丹誠
(豊後大野市)‥‥。

 1月26日(土) 午後7時頃~、当店「Bar 十月」で。
 会費は2,500円、酒肴付。
 おもに地元のみ流通の、おいしいお酒が登場します。うるさい薀蓄なし。皆
様、いっしょにおいしいお酒を飲みましょう。

 2月は「長崎県」、3月は「福島県」のお酒の予定。
 いいお酒があったら教えてくださいね。


■【映画日記】
● ……………………………………………………………………………………… ●
 なんだか見たい映画が目白押しで、映画館に住み込みたいぐらいです。
 さて、12月に観た映画は、
  1. 北のカナリア        11. 愛について・ある土曜日の面会室
  2. 恋のロンドン狂騒曲     12. 7日間の恋人
  3. ファースト・ポジション   13. 砂漠でサーモンフィッシング
  4. アナザー・ハッピー・デイ  14. 拝啓 愛しています
  5. 狩人            15. マリーアントワネットに別れを告げて
  6. 007スカイホール      16. もうひとりのシェイスクピア
  7. ニッポンのみせものやさん  17. シェフ
  8. 二つの祖国で        18. 理想の出産
  9. ウォリスとエドワード
 10. 最初の人間

 「ファースト・ポジション」の映像は、本当に真剣な面差しを追っており素
晴らしい作品。自分のやりたい道をひたすら目指す若者の眼は美しい。羨まし
い限り。
 「拝啓 愛しています」も、字の読めない女性を好きになった金持ちの男性
の、無骨な愛情表現がほんわか描かれて秀作。老いても友人は作れるのです。
 「愛について・ある土曜日の面会室」はフランス映画、レア・フェネールと
いう28歳の女性監督。刑務所でのボランティア経験が何とも言えない重厚な
作品になっている。
 さて、2月2日から、「空を拓く 建築家・郭茂林という男」が上映されま
す。台湾出身で、霞が関ビルなど、日本の高層ビルの先駆けとなった建築家の
話です。「台湾人生」の酒井充子監督によるドキュメント。前作のように充実
した内容が期待出来ます。是非是非、観て下さい。東日本大震災の後、140
億円をポンと寄付してくれた台湾の、実直さが垣間見られるでしょう。渋谷の
ユーロースペースで。


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編┃集┃後┃記┃
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 正月に、「ソーラー・ママ」というドキュメントをテレビで観ました。字の
読めない人も含めて、世界各地の女性たちを集め、インドにある「裸足の大学」
という施設で太陽光発電の技術を教え、女性の地位向上、自立に役立つよう活
動している話。
 南米やアフリカやイスラム圏などからインドに渡って、6ヶ月の期間、家族
から離れて、エンジニアになるための特訓。イスラムのある地域などでは、女
性が10歳以上勉強するのは恥だとされるようです。女性に教育は不要とか。
そんな話が昔話になってしまう時が、早く早く来るよう祈るばかり。
 あまりにも我がままな男性たちをみると怒り心頭。日本は恵まれています。
みなさんも勉強ができる環境にあることを大切にして欲しいです。学問は立派
な財産!

 今年の秋の「大人の修学旅行」は柏崎です。頑張りたいと思います。みなさ
ま、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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         十月通信  2013.01.10 第065号
●発 行:「Bar 十月」 くぼたかずこ
     〒160-0021新宿区歌舞伎町1-1-10 tel.03-5272-1171
     E-mail:kkmoravia@u01.gate01.com
●営業日:月曜~土曜(祝祭日も営業しています)
     17 時~24 時(土曜・祝祭日は19 時―24 時)
     日曜は休みます。
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○「Bar 十月」ホームページ: http://sites.google.com/site/kkmoravia/
○「Bar 十月」紹介ページブログ: http://ju-ga-tsu.blogspot.com
○「ゴールデン街」ホームページ:http://www.goldengai.net/shop/b/16/

2012年12月11日火曜日

十月通信 12月号

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      「十月通信」  2012. 12.10 第064号

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 みなさま、いつも御贔屓ありがとうございます。
 知人が東北へ行って来たそうです。未だに駅前から3階建てぐらいの高さま
で瓦礫が積まれているそうです。現地に頑丈な焼却炉をいくつか設置して、現
地の雇用で、どんどん処理が進むようになるといいですね。国会で、脚の引っ
張りあいなどしている場合ではないでしょうに。
 昭和20年製作、斎藤寅次郎監督の「東京五人男」。この作品こそ今の日本
に必要な、初志の精神だと思います。画面に広がる焼け跡は、まさに今の東北、
そのものです。「百の計画より一つの実行!」というスローガンを掲げて立候
補している姿など、今の政治家に見せたい。また、強欲な金持ちを善人に仕立
て上げてゆく過程や、のんき節の石田一松の唄は、世相を皮肉っていて愉快。
 横山エンタツ 、花菱アチャコのやり取りの絶妙な味。他にも古川緑波、柳家
権太楼 など、当時の喜劇人勢揃い。戦後の復興に奮闘する庶民の姿はわれわれ
の姿です。前向きで、笑いながら前進したいですね。「笑う門には福が来る!」

 さて、今月のわたしの歌。
 ♪ ねえみんな何がほしいの何したいそれぞれ新月さがして師走
 ♪ 咲き誇る花の名たずねて豆腐売りオンシジウムと書き留めている
 ♪ 震度五度の津波警報聞くうちにあの日の寒さあの日の涙

 いよいよ、今年も最後の月ですが、自分の思う通りに過ごす事が出来た人は
何人いるでしょうか。来年こそは少しでも自分の意思に近い道を歩きたいです。
 当店にこの頃、黄色い薔薇に変わって黄色いオンシジウムが飾ってあります。
週1回見える、美味しいお豆腐屋さんのお兄さんが、咲き誇る花を愛でて名前
を聞かれました。オンシジウムよ、彼はメモなどしていました。
 つい先日の夕方、突如、グラっと来ました。あわてて非常用ラジオを付けた
ら、流れて来たのは津波警報の避難を告げる緊迫した声。突如、胸にこみ上げ
るものがあり、あの日の寒さと怖さを思い出し、涙が溢れ出ました。神様、早
くみんなに安らぎを、と祈ってしまいました。


■【好きな歌】
● ……………………………………………………………………………………… ●

 ♪ 飛ぶ雪の越の果てなる木の芽坂妻なき鬼が哭(な)きつつぞ棲む
                 武下奈々子「樹の女」昭和63年
 武下奈々子(たけしたななこ)、昭和27年、香川県多度津生まれ。20歳で
上京。結婚後福井県に移り住む。
 なんだか、日本海の寂しさと厳しさ、そして人恋しさがやんわりと、切なく
伝わる歌で、こちらの気持も静謐な群青色になってゆくようです。温暖な四国
生まれの彼女が移り住んだ、愛する人の郷に対する情愛を感じました。
 以下の歌も、ひらがなが福井の大地であそんでいるよう。確かに、春の黒土
の耕した様はまるでおっぱいがいっぱい。農村の春の助走を見るようです。

 ♪ 柿あまた食ひたる子規の赫き口闇夜に顕(た)ちて我を愚弄す
 ♪ をとこのこ酢いか甘いか葉のかげのあんずほのかに色づきにけり
 ♪ ひかり生(あ)れ草生れ木生れ黒土はうねりて春の乳房となれり


■【「Bar十月」作品展】
● ……………………………………………………………………………………… ●
◎犬飼三千子版画展 12月1日(土)~29日(土)
 塔や花などをモチーフにしたもの、様々な景物を並べたものなど、「部屋の
ドアの横にかけたいな」と、つい思ってしまう作品を10点ほど。

 ▼年明け1月は写真展、前半と後半でお二人。
  ◎熊谷直樹写真展 4日(金)~15日(火)
  ◎津布久智写真展 16日(水)~31日(金)


■【おしらせ】来年2月3日に恒例の「ミステリーお座敷列車」があります。
 詳細は店内の掲示をご覧下さい。十月メンバー参加費は1万4千円です。


■【日本酒の会】
● ……………………………………………………………………………………… ●
 12月の日本酒の会は、「福岡県のお酒」です。
 候補酒は、繁桝(八女市)、旭菊(久留米市)、黒田城大手門(久留米市)、
亀の尾(宗像市)、玉出泉(筑紫野市)、博多練酒(久留米市)、白糸(糸島
市)‥‥。

 12月22日(土) 午後7時頃~、当店「Bar 十月」で。
 会費は2,500円、酒肴付。
 おもに地元のみ流通の、おいしいお酒が登場します。うるさい薀蓄なし。皆
様、いっしょにおいしいお酒を飲みましょう。
 *12月は、1週早めて、12月22日(土)です。

 来年1月は「大分県」、2月は「長崎県」のお酒の予定。
 いいお酒があったら教えてくださいね。


■【映画日記】
● ……………………………………………………………………………………… ●
 なんだか見たい映画が目白押しで、映画館に住み込みたいぐらいです。
 さて、11月に観た映画は、
  1.KAMIKAZETAXI      13. 39窃盗団
  2.のぼうの城         14.EDEN
  3.アルゴ           15.ミッドナイト・イン・パリ
  4.終の信託          16.その夜の侍
  5.桐島部活辞めるってよ    17.悪の教典
  6.サニー           18.黄金を抱いて翔べ
  7.危険なメソッド       19.プンサンケン
  8.天のしずく         20.ふがいない僕は空を見た
  9.チキンとプラム       21.裏切りの戦場葬られた誓い
 10. ラヴィ・ド・ボエーム    22.綱引いちゃった
 11. 声をかくす人        23.任侠ヘルパー
 12. みんなで一緒に暮らしたら  24.人生の特等席

 ドキュメントの「天のしずく」は、心優しい辰巳芳子さんの食材に対する慈
しみがとても良く描かれていて、見ているこちらも優しくなれる、とても丁寧
な作品。
 「のぼうの城」の主人公、野村萬斎の、小舟の上での舞は感動的。
 「危険なメソッド」は、筋よりも素敵なレースに目を奪われてしまった作品。
 「プンサンケン」は、あの「ブレス」のキム・ギドク監督の脚本に彼の助監
督だったチョン・ジェホンが監督。出演者はオール無報酬だとか。意気込みを
感じる秀作。唖の主人公のユン・ゲサンの沈黙の演技は誠に素晴らしい。
 「ラヴィ・ド・ボエーム」は、カウリ・スマキ監督の果てしない優しさが滲
み出ている。ル・アーブルの靴みがきでも感じたが、どうしたらこんなにいい
人になってしまうの、というぐらい善人の映画。プラットフォームのシーンは
唸ってしまいます。最後に流れる日本語の「雪の降る街を」でさらに熱くなり
ました。
 「サニー」は是非是非、お勧めです。こんな友情、憧れます。
 「39窃盗団」、刑法39条を考えるきっかけになる、妙に納得の映画です。


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編┃集┃後┃記┃
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 そうだ、蒲田に行こう! と思って、秋晴れの日曜日、蒲田に行って来まし
た。蒲田は、活き活きした人間が暮らしている元気な街でした。雑多な通りを
行き交う、若者が多いのにはちょっとビックリ。ヨコハマも近いし品川も近い、
結構穴場ですね。アーケードに新作上映館が二つもあるのです。
 その映画館は掃除が行き届き、トイレも座席も新型で素晴らしい。映画フア
ンとしては嬉しい限り。撮影所のあった街の誇りを感じます。

 「キネマの天地」も「蒲田行進曲も」すばらしかったですね。蒲田の映画館
がいつまでも元気で行進してくれますように。食べ物も安くて美味しい店がい
っぱい。庶民の味方の街ですね。とどめが蒲田駅の発着曲、「蒲田行進曲」で
す。たまに元気を仕入れにゆくのも良いですよ。
 いよいよ年末、でも毎年来ること。いつものように時を数えましょう。ここ
までやってこれたことに、おおいに感謝。
 年末は29日(土)まで、新年は4日(金)から。お待ちしております。

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         十月通信  2012.12.10 第064号
●発 行:「Bar 十月」 くぼたかずこ
     〒160-0021新宿区歌舞伎町1-1-10 tel.03-5272-1171
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     17 時~24 時(土曜・祝祭日は19 時―24 時)
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2012年11月13日火曜日

十月通信 十一月号

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      「十月通信」  2012. 11.10 第063号

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 みなさま、いつも御贔屓ありがとうございます。
 いよいよ今年も残すところ、あとひと月余り。年内に片付けることなどあり
ますか? わたしなぞ、未処理や仕掛り中がいっぱい。仕方ありません、生き
ている間は、いつも途中なのですから。最期は誰かにお願いをすれば良いと思
います。持ちつ持たれつ、それぞれに出来ることをし、してやったりもらった
りと。遠慮なく、ご迷惑をどうぞ。

 とにかく、自然体で生きたいですね。映画「好人好日」で、笠智衆が、実の
親を知りたがっている養女の質問に、「産まれて生きてここにいる、それで良
いじゃないか。人生は偶然の巡り合わせだから‥‥」と。名言ですね。また、
女房の昔の記憶力に感心しながら、「そんな記憶力があったらもっと有効に使
いなさい」と。
 愉快ですね。自分のリズムで、ぼちぼち、生きてゆきましょうか。

 さて、今月のわたしの歌。
 ♪ 休業日とはいえ出勤あれこれと店の片付け野良猫(ノラ)雨宿り
 ♪ 玄米を炒ってあやして湯をそそぎ塩梅加減スープいっちょう!
 ♪ 誕生月なれどわが店「十月」は長き不在のやおよろずの神
 ♪ ピラカンサの紅い実母を思いだす廃家の軒で不貞腐れてる

 日曜に雨の中、前日の片付けのため店に出ました。ゴールデン街名物の猫が、
雨宿りしていました。猫の手は、間に合いませんものね。
 少し肌寒い日曜日、遠方よりの先生に、覚えたばかりの玄米スープをと作っ
てみました。玄米を鍋の中で、子供の体を洗うがごとく、よしよしと心で呟き
ながら煎って、それを更にスープに。母の味。
 十月は私の誕生月ですが、不景気の煽りでいまいち。神さま、早く出雲より
帰って来て下さい。
 急に深い秋になって、ピラカンサの赤い実が青空に映えています。知人のも
う誰も住んでいないお家に、しっかり元気に咲き誇っています。早く主よ、帰
って来てよ!と怒っているのかも。


■【好きな歌】
● ……………………………………………………………………………………… ●

 ♪ 蛇遣ふ若き女は小屋いでて河原におつる赤き日を見る
                 佐佐木信綱「新月」大正元年

 佐佐木信綱(ささきのぶつな)、明治5年、三重県鈴鹿市生まれ。歌人の父、
弘綱の指導で五歳にして作歌を始めた。息子の治綱、孫の幸綱も歌人。
 掲載歌は、ある地方でのこと。見世物小屋の若い蛇遣いの女性が、両手を拡
げ夕日に向かってありったけの深呼吸をしている感じがする。蛇遣いの女性と
赤い夕日の妙。
 以下の歌も、感嘆あるのみ。大家の歌はどれもこれも素晴らしく、色彩豊か
で情景が浮かびますね。同時に気温、温もりも感じます。

 ♪ 春の日のゆくらゆくらと山一つあなたへまゐる太郎冠者かな
 ♪ ちらばれる耳成山や香具山や菜の花黄なる春の大和に
 ♪ みづうみを越えてにほえる虹の輪の中を舟ゆく君が舟ゆく


■【「Bar十月」作品展】
● ……………………………………………………………………………………… ●
◎竹上 妙木版画作品展 11月1日(木)~15日(木)
 テントウ(転倒?)ムシやら動物やらから着想した画、室生犀星、忌野清志
郎らの詩から発想した画など楽しい作品! を10点ほど。

◎山口亜紀銅版画作品展 11月16日(金)~30日(金)
 瑞々しさもあるし、エロティックなところもある、亜紀さんの作品。さて、
今年はどんな楽しを展開してくれるでしょう?

 ▼12月は、犬飼三千子さんの登場です。
  1日(土)~29日(土)予定。


■【日本酒の会】
● ……………………………………………………………………………………… ●
 11月の日本酒の会は、「香川県のお酒」です。
 候補酒は、金陵(仲多度郡琴平町)、国粋、讃岐路(丸亀市)、森(小豆郡
小豆島)、勇心(綾歌郡綾川町)‥‥。

 11月24日(土) 午後7時頃~、当店「Bar 十月」で。
 会費は2,500円、酒肴付。
 おもに地元のみ流通の、おいしいお酒が登場します。うるさい薀蓄なし。皆
様、いっしょにおいしいお酒を飲みましょう。

 12月は「福岡県」、来年1月は「大分県」のお酒の予定。
 いいお酒があったら教えてくださいね。
 *12月は、1週早めて、12/22(土曜日)です。


■【映画日記】
● ……………………………………………………………………………………… ●
 なんだか見たい映画が目白押しで、映画館に住み込みたいぐらいです。
 さて、10月に観た映画は、
  1.王様とボク          10.天心の譜
  2.そして友よ静かに死ね    11.よみがえりのレシピ
  3.アイアン・スカイ      12.子供たちの王様
  4.ミステリーズ・リスボン   13.ペンギン夫婦の作りかた
  5.推理作家ポー最期の5日間  14.情熱のピアニズム
  6.最終目的地         15.シャドウ・チェイサー
  7.くろねこルーシー      16.青い凧
  8.コンフィデンスマン     17.青の稲妻
  9.桃さんのしあわせ      18.思秋期

 ドキュメントの「天心の譜」、「よみがえりのレシピ」は会心作だと思う。
そのうち「よみがえりのレシピ」は着眼がとてもよいのだが、イタリアンレス
トランの広告宣伝的な色がかなり強い。美味しく食べるには仕方のないことか
もしれないが‥‥。映像は素晴らしい。音楽がいまいち暗い。
 「情熱のピアニズム」は、主人公の天賦の才能にビックリするばかり。1962
年南仏の音楽一家に生まれたミシェル・ペトルチアーニ。骨形成不全症という
遺伝的障害を抱えて歩くこともままならず、成人しても身長は1メートルしか
ない彼が奏でるジャズの音は人間が弾いてるとは思えない。お勧め。
 「桃さんのしあわせ」は、60年仕えたお手伝いさんを親のように大切に接す
る優しい作品。今では老眼鏡をかけるほどの主人公、その赤ん坊の頃の写真を
宝物のようにしていて感動的。老人ホームの実情がとても良く描けていて、ど
こも同じだと、母の時のことを想い出した。
 「思秋期」全編に流れる、心の澱を撹拌するかのような音楽が素晴らしい。
終わりもなかなか素晴らしい。これもお勧めですね。


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編┃集┃後┃記┃
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 先日、機会があって、都立高校生による「言葉の祭典」をみました。なかな
か見応え、聴き応えのあるもので、流石、決勝戦でした。
 英語部門もある弁論、討論は、16歳だというのに頼もしい限りの激論に、
テレビなどでやっているものよりも面白いと感じました。4名が出場した書評
合戦「ビブリオバトル」に至っては、各自、元気溌剌、瑞々しく愉快でたいへ
ん面白かった。
 帰りには早速、彼らの奨める本を買い求めようと思ったほど。彼らのきょう
の言葉を作者に是非伝えたい、などとも思いました。

 都立高校離れの話を耳にしたことがあるが、こんなにユニークで、頑張って
元気なら是非、都立校を目指そうとする人が増えるのではないでしょうか。
 本を読むということは、人生にいろんな色の洋服を纏うことが出来ることで
す。彼ら、どんな大人になるだろう? と楽しみになる催しでした。ト・テ・
モ・ス・バ・ラ・シ・イ!

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         十月通信  2012.11.10 第063号
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     〒160-0021新宿区歌舞伎町1-1-10 tel.03-5272-1171
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     17 時~24 時(土曜・祝祭日は19 時―24 時)
     日曜は休みます。
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十月通信5月号

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