2012年11月13日火曜日

十月通信 十一月号

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      「十月通信」  2012. 11.10 第063号

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 みなさま、いつも御贔屓ありがとうございます。
 いよいよ今年も残すところ、あとひと月余り。年内に片付けることなどあり
ますか? わたしなぞ、未処理や仕掛り中がいっぱい。仕方ありません、生き
ている間は、いつも途中なのですから。最期は誰かにお願いをすれば良いと思
います。持ちつ持たれつ、それぞれに出来ることをし、してやったりもらった
りと。遠慮なく、ご迷惑をどうぞ。

 とにかく、自然体で生きたいですね。映画「好人好日」で、笠智衆が、実の
親を知りたがっている養女の質問に、「産まれて生きてここにいる、それで良
いじゃないか。人生は偶然の巡り合わせだから‥‥」と。名言ですね。また、
女房の昔の記憶力に感心しながら、「そんな記憶力があったらもっと有効に使
いなさい」と。
 愉快ですね。自分のリズムで、ぼちぼち、生きてゆきましょうか。

 さて、今月のわたしの歌。
 ♪ 休業日とはいえ出勤あれこれと店の片付け野良猫(ノラ)雨宿り
 ♪ 玄米を炒ってあやして湯をそそぎ塩梅加減スープいっちょう!
 ♪ 誕生月なれどわが店「十月」は長き不在のやおよろずの神
 ♪ ピラカンサの紅い実母を思いだす廃家の軒で不貞腐れてる

 日曜に雨の中、前日の片付けのため店に出ました。ゴールデン街名物の猫が、
雨宿りしていました。猫の手は、間に合いませんものね。
 少し肌寒い日曜日、遠方よりの先生に、覚えたばかりの玄米スープをと作っ
てみました。玄米を鍋の中で、子供の体を洗うがごとく、よしよしと心で呟き
ながら煎って、それを更にスープに。母の味。
 十月は私の誕生月ですが、不景気の煽りでいまいち。神さま、早く出雲より
帰って来て下さい。
 急に深い秋になって、ピラカンサの赤い実が青空に映えています。知人のも
う誰も住んでいないお家に、しっかり元気に咲き誇っています。早く主よ、帰
って来てよ!と怒っているのかも。


■【好きな歌】
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 ♪ 蛇遣ふ若き女は小屋いでて河原におつる赤き日を見る
                 佐佐木信綱「新月」大正元年

 佐佐木信綱(ささきのぶつな)、明治5年、三重県鈴鹿市生まれ。歌人の父、
弘綱の指導で五歳にして作歌を始めた。息子の治綱、孫の幸綱も歌人。
 掲載歌は、ある地方でのこと。見世物小屋の若い蛇遣いの女性が、両手を拡
げ夕日に向かってありったけの深呼吸をしている感じがする。蛇遣いの女性と
赤い夕日の妙。
 以下の歌も、感嘆あるのみ。大家の歌はどれもこれも素晴らしく、色彩豊か
で情景が浮かびますね。同時に気温、温もりも感じます。

 ♪ 春の日のゆくらゆくらと山一つあなたへまゐる太郎冠者かな
 ♪ ちらばれる耳成山や香具山や菜の花黄なる春の大和に
 ♪ みづうみを越えてにほえる虹の輪の中を舟ゆく君が舟ゆく


■【「Bar十月」作品展】
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◎竹上 妙木版画作品展 11月1日(木)~15日(木)
 テントウ(転倒?)ムシやら動物やらから着想した画、室生犀星、忌野清志
郎らの詩から発想した画など楽しい作品! を10点ほど。

◎山口亜紀銅版画作品展 11月16日(金)~30日(金)
 瑞々しさもあるし、エロティックなところもある、亜紀さんの作品。さて、
今年はどんな楽しを展開してくれるでしょう?

 ▼12月は、犬飼三千子さんの登場です。
  1日(土)~29日(土)予定。


■【日本酒の会】
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 11月の日本酒の会は、「香川県のお酒」です。
 候補酒は、金陵(仲多度郡琴平町)、国粋、讃岐路(丸亀市)、森(小豆郡
小豆島)、勇心(綾歌郡綾川町)‥‥。

 11月24日(土) 午後7時頃~、当店「Bar 十月」で。
 会費は2,500円、酒肴付。
 おもに地元のみ流通の、おいしいお酒が登場します。うるさい薀蓄なし。皆
様、いっしょにおいしいお酒を飲みましょう。

 12月は「福岡県」、来年1月は「大分県」のお酒の予定。
 いいお酒があったら教えてくださいね。
 *12月は、1週早めて、12/22(土曜日)です。


■【映画日記】
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 なんだか見たい映画が目白押しで、映画館に住み込みたいぐらいです。
 さて、10月に観た映画は、
  1.王様とボク          10.天心の譜
  2.そして友よ静かに死ね    11.よみがえりのレシピ
  3.アイアン・スカイ      12.子供たちの王様
  4.ミステリーズ・リスボン   13.ペンギン夫婦の作りかた
  5.推理作家ポー最期の5日間  14.情熱のピアニズム
  6.最終目的地         15.シャドウ・チェイサー
  7.くろねこルーシー      16.青い凧
  8.コンフィデンスマン     17.青の稲妻
  9.桃さんのしあわせ      18.思秋期

 ドキュメントの「天心の譜」、「よみがえりのレシピ」は会心作だと思う。
そのうち「よみがえりのレシピ」は着眼がとてもよいのだが、イタリアンレス
トランの広告宣伝的な色がかなり強い。美味しく食べるには仕方のないことか
もしれないが‥‥。映像は素晴らしい。音楽がいまいち暗い。
 「情熱のピアニズム」は、主人公の天賦の才能にビックリするばかり。1962
年南仏の音楽一家に生まれたミシェル・ペトルチアーニ。骨形成不全症という
遺伝的障害を抱えて歩くこともままならず、成人しても身長は1メートルしか
ない彼が奏でるジャズの音は人間が弾いてるとは思えない。お勧め。
 「桃さんのしあわせ」は、60年仕えたお手伝いさんを親のように大切に接す
る優しい作品。今では老眼鏡をかけるほどの主人公、その赤ん坊の頃の写真を
宝物のようにしていて感動的。老人ホームの実情がとても良く描けていて、ど
こも同じだと、母の時のことを想い出した。
 「思秋期」全編に流れる、心の澱を撹拌するかのような音楽が素晴らしい。
終わりもなかなか素晴らしい。これもお勧めですね。


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編┃集┃後┃記┃
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 先日、機会があって、都立高校生による「言葉の祭典」をみました。なかな
か見応え、聴き応えのあるもので、流石、決勝戦でした。
 英語部門もある弁論、討論は、16歳だというのに頼もしい限りの激論に、
テレビなどでやっているものよりも面白いと感じました。4名が出場した書評
合戦「ビブリオバトル」に至っては、各自、元気溌剌、瑞々しく愉快でたいへ
ん面白かった。
 帰りには早速、彼らの奨める本を買い求めようと思ったほど。彼らのきょう
の言葉を作者に是非伝えたい、などとも思いました。

 都立高校離れの話を耳にしたことがあるが、こんなにユニークで、頑張って
元気なら是非、都立校を目指そうとする人が増えるのではないでしょうか。
 本を読むということは、人生にいろんな色の洋服を纏うことが出来ることで
す。彼ら、どんな大人になるだろう? と楽しみになる催しでした。ト・テ・
モ・ス・バ・ラ・シ・イ!

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         十月通信  2012.11.10 第063号
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