2012年12月11日火曜日

十月通信 12月号

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      「十月通信」  2012. 12.10 第064号

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 みなさま、いつも御贔屓ありがとうございます。
 知人が東北へ行って来たそうです。未だに駅前から3階建てぐらいの高さま
で瓦礫が積まれているそうです。現地に頑丈な焼却炉をいくつか設置して、現
地の雇用で、どんどん処理が進むようになるといいですね。国会で、脚の引っ
張りあいなどしている場合ではないでしょうに。
 昭和20年製作、斎藤寅次郎監督の「東京五人男」。この作品こそ今の日本
に必要な、初志の精神だと思います。画面に広がる焼け跡は、まさに今の東北、
そのものです。「百の計画より一つの実行!」というスローガンを掲げて立候
補している姿など、今の政治家に見せたい。また、強欲な金持ちを善人に仕立
て上げてゆく過程や、のんき節の石田一松の唄は、世相を皮肉っていて愉快。
 横山エンタツ 、花菱アチャコのやり取りの絶妙な味。他にも古川緑波、柳家
権太楼 など、当時の喜劇人勢揃い。戦後の復興に奮闘する庶民の姿はわれわれ
の姿です。前向きで、笑いながら前進したいですね。「笑う門には福が来る!」

 さて、今月のわたしの歌。
 ♪ ねえみんな何がほしいの何したいそれぞれ新月さがして師走
 ♪ 咲き誇る花の名たずねて豆腐売りオンシジウムと書き留めている
 ♪ 震度五度の津波警報聞くうちにあの日の寒さあの日の涙

 いよいよ、今年も最後の月ですが、自分の思う通りに過ごす事が出来た人は
何人いるでしょうか。来年こそは少しでも自分の意思に近い道を歩きたいです。
 当店にこの頃、黄色い薔薇に変わって黄色いオンシジウムが飾ってあります。
週1回見える、美味しいお豆腐屋さんのお兄さんが、咲き誇る花を愛でて名前
を聞かれました。オンシジウムよ、彼はメモなどしていました。
 つい先日の夕方、突如、グラっと来ました。あわてて非常用ラジオを付けた
ら、流れて来たのは津波警報の避難を告げる緊迫した声。突如、胸にこみ上げ
るものがあり、あの日の寒さと怖さを思い出し、涙が溢れ出ました。神様、早
くみんなに安らぎを、と祈ってしまいました。


■【好きな歌】
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 ♪ 飛ぶ雪の越の果てなる木の芽坂妻なき鬼が哭(な)きつつぞ棲む
                 武下奈々子「樹の女」昭和63年
 武下奈々子(たけしたななこ)、昭和27年、香川県多度津生まれ。20歳で
上京。結婚後福井県に移り住む。
 なんだか、日本海の寂しさと厳しさ、そして人恋しさがやんわりと、切なく
伝わる歌で、こちらの気持も静謐な群青色になってゆくようです。温暖な四国
生まれの彼女が移り住んだ、愛する人の郷に対する情愛を感じました。
 以下の歌も、ひらがなが福井の大地であそんでいるよう。確かに、春の黒土
の耕した様はまるでおっぱいがいっぱい。農村の春の助走を見るようです。

 ♪ 柿あまた食ひたる子規の赫き口闇夜に顕(た)ちて我を愚弄す
 ♪ をとこのこ酢いか甘いか葉のかげのあんずほのかに色づきにけり
 ♪ ひかり生(あ)れ草生れ木生れ黒土はうねりて春の乳房となれり


■【「Bar十月」作品展】
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◎犬飼三千子版画展 12月1日(土)~29日(土)
 塔や花などをモチーフにしたもの、様々な景物を並べたものなど、「部屋の
ドアの横にかけたいな」と、つい思ってしまう作品を10点ほど。

 ▼年明け1月は写真展、前半と後半でお二人。
  ◎熊谷直樹写真展 4日(金)~15日(火)
  ◎津布久智写真展 16日(水)~31日(金)


■【おしらせ】来年2月3日に恒例の「ミステリーお座敷列車」があります。
 詳細は店内の掲示をご覧下さい。十月メンバー参加費は1万4千円です。


■【日本酒の会】
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 12月の日本酒の会は、「福岡県のお酒」です。
 候補酒は、繁桝(八女市)、旭菊(久留米市)、黒田城大手門(久留米市)、
亀の尾(宗像市)、玉出泉(筑紫野市)、博多練酒(久留米市)、白糸(糸島
市)‥‥。

 12月22日(土) 午後7時頃~、当店「Bar 十月」で。
 会費は2,500円、酒肴付。
 おもに地元のみ流通の、おいしいお酒が登場します。うるさい薀蓄なし。皆
様、いっしょにおいしいお酒を飲みましょう。
 *12月は、1週早めて、12月22日(土)です。

 来年1月は「大分県」、2月は「長崎県」のお酒の予定。
 いいお酒があったら教えてくださいね。


■【映画日記】
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 なんだか見たい映画が目白押しで、映画館に住み込みたいぐらいです。
 さて、11月に観た映画は、
  1.KAMIKAZETAXI      13. 39窃盗団
  2.のぼうの城         14.EDEN
  3.アルゴ           15.ミッドナイト・イン・パリ
  4.終の信託          16.その夜の侍
  5.桐島部活辞めるってよ    17.悪の教典
  6.サニー           18.黄金を抱いて翔べ
  7.危険なメソッド       19.プンサンケン
  8.天のしずく         20.ふがいない僕は空を見た
  9.チキンとプラム       21.裏切りの戦場葬られた誓い
 10. ラヴィ・ド・ボエーム    22.綱引いちゃった
 11. 声をかくす人        23.任侠ヘルパー
 12. みんなで一緒に暮らしたら  24.人生の特等席

 ドキュメントの「天のしずく」は、心優しい辰巳芳子さんの食材に対する慈
しみがとても良く描かれていて、見ているこちらも優しくなれる、とても丁寧
な作品。
 「のぼうの城」の主人公、野村萬斎の、小舟の上での舞は感動的。
 「危険なメソッド」は、筋よりも素敵なレースに目を奪われてしまった作品。
 「プンサンケン」は、あの「ブレス」のキム・ギドク監督の脚本に彼の助監
督だったチョン・ジェホンが監督。出演者はオール無報酬だとか。意気込みを
感じる秀作。唖の主人公のユン・ゲサンの沈黙の演技は誠に素晴らしい。
 「ラヴィ・ド・ボエーム」は、カウリ・スマキ監督の果てしない優しさが滲
み出ている。ル・アーブルの靴みがきでも感じたが、どうしたらこんなにいい
人になってしまうの、というぐらい善人の映画。プラットフォームのシーンは
唸ってしまいます。最後に流れる日本語の「雪の降る街を」でさらに熱くなり
ました。
 「サニー」は是非是非、お勧めです。こんな友情、憧れます。
 「39窃盗団」、刑法39条を考えるきっかけになる、妙に納得の映画です。


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編┃集┃後┃記┃
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 そうだ、蒲田に行こう! と思って、秋晴れの日曜日、蒲田に行って来まし
た。蒲田は、活き活きした人間が暮らしている元気な街でした。雑多な通りを
行き交う、若者が多いのにはちょっとビックリ。ヨコハマも近いし品川も近い、
結構穴場ですね。アーケードに新作上映館が二つもあるのです。
 その映画館は掃除が行き届き、トイレも座席も新型で素晴らしい。映画フア
ンとしては嬉しい限り。撮影所のあった街の誇りを感じます。

 「キネマの天地」も「蒲田行進曲も」すばらしかったですね。蒲田の映画館
がいつまでも元気で行進してくれますように。食べ物も安くて美味しい店がい
っぱい。庶民の味方の街ですね。とどめが蒲田駅の発着曲、「蒲田行進曲」で
す。たまに元気を仕入れにゆくのも良いですよ。
 いよいよ年末、でも毎年来ること。いつものように時を数えましょう。ここ
までやってこれたことに、おおいに感謝。
 年末は29日(土)まで、新年は4日(金)から。お待ちしております。

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         十月通信  2012.12.10 第064号
●発 行:「Bar 十月」 くぼたかずこ
     〒160-0021新宿区歌舞伎町1-1-10 tel.03-5272-1171
     E-mail:kkmoravia@u01.gate01.com
●営業日:月曜~土曜(祝祭日も営業しています)
     17 時~24 時(土曜・祝祭日は19 時―24 時)
     日曜は休みます。
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○「Bar 十月」ホームページ: http://sites.google.com/site/kkmoravia/
○「Bar 十月」紹介ページブログ: http://ju-ga-tsu.blogspot.com
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