2016年9月9日金曜日

十月通信9月号



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        十月通信   2016.09.10 第109

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 みなさま、いつもご贔屓ありがとうございます。
 今月は、台風の常軌を逸したような動きに振り回されていますね。いままで
台風は九州経由でせいぜい群馬県あたりで息絶えておりましたが、この頃は気
候変動のせいか、なんと北海道にまで攻め進んで行く始末。東北地方は未だ癒
えない大地震の被災地域をさらに襲ったりしています。
 ニュースで台風の行進を中継しているのを見ると意気消沈してしまします。
風はそよ風、雨は絹雨などがいいですね。みなさんの周りはご無事でしたか?
 さて、今月のわたしの歌。

  台風の実況放送聞きながら夏よさよなら深夜の二時の    
  札幌のあのレストラン無事だろうか北の大地も台風銀座と
  みちのくを追い討ち溯上の台風よ芭蕉の道のその先にまで

 この頃立て続けに北海道を襲う台風の恐ろしさ、そして彼の地に暮らす懐か
しい人々が心配です。あの東北地震の傷もまだ癒えぬのに、芭蕉の奥の 細道を
なぞるがごとくに、なおも北へ北へと爪痕を残す台風は自然の怒りなの でしょ
うか。被害に遭われた方が早く立ち直れるよう祈るばかりです。

【好きな歌】
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  雨月の夜蜜の暗さとなりにけり野沢凡兆その妻羽紅
                高野公彦「雨月」昭和63

 高野公彦(たかのきみひこ)、昭和16年、愛媛県生まれ。東京教育大卒。
 歌人四十代、このころの作者は遠くふるさとがいつも胸に重く、というのは
故郷の母の病気と死、父の衰弱、そして本人の体調不良などがかさなって、そ
れらが微妙に歌に影響しているようです。雨で名月がみられない、という歌集
タイトルにも現われています。
 上記の歌は、松尾芭蕉の弟子だった凡兆夫妻を歌っています。夫婦の名前の
並びの語呂がよく気持ちの良い歌ですが、ご両親の状況の反映もあるのでしょ
うか。

  遍路路を照らして音もなく青き空海のそら、一遍のそら
  夜ざくらを見つつ思ほゆ人の世に暗くただ一つある〈非常口〉
  新宿の地下広場ふかく夕日さし破船を洗うごとき水音
  ひえびえと穀雨は降りぬ地方出身都市生活者われらの上に

【「Bar十月」作品展】
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佐藤かおり作品展「suger & spice」:9月1日(木)~15日(木)
 佐藤かおりさんは雑誌にお洒落な挿画を描いている絵描きさん。ちょっとス
タイリッシュな作品を展示しています。

犬飼三千子作品展:9月16日(金)~30日(金)
 犬飼三千子さんの宇宙? 心象? をモティーフにした小品版画はいつも素
敵です。

 10月は、
 中野耕一作品展:10月1日(土)~15日(土)
 西英一作品展「en4:10月17日(月)~27日(木)
  中野耕一さんは雑誌の挿絵を中心に描いています。西英一さんは立体作品
 から展開して今回は写真、どんな作品を準備しているでしょうか。
 中村征夫写真展:10月28日(金)~11月30日(水)
  水中写真の第一人者。新宿コニカミノルタプラザ「地球 ふたつの海」開催
 に合わせた写真展です。

【日本酒の会】
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 9月・第133回日本酒の会は「広島県のお酒」です。
 候補酒は、亀齢(東広島市)、宝剣(呉市)、酔心(三原市)、美和桜(三
次市)、瑞冠(三次市)‥‥
 9月24日(土) 午後7時頃~、当店「Bar十月」で。
 会費は2,700円、酒肴付。

 8月「新潟県」は、麒麟山(純米吟醸辛口)、清泉・夏子物語(特別純米)、
山間(特別純米)をいただきました。
 10月は「富山県」、11月は「宮城県」のお酒の予定。毎月、月末の土曜
日に開催。皆様、いっしょに、おいしいお酒を飲みましょう。

【おしらせ】
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Bar十月オリジナル扇子、販売中!
 若い女性アーティスト3人が、心を込めて、十月扇子制作しました。限定品、
お申し込みは店主まで。

「百花十月」第13号(8月25日発行) ¥150 好評発売中!
 ポエトリ:ざわざわ(竹上妙)、スケッチ:文壇未満バー(歌堂敏彦)、ラ
テンアメリカ前衛詩人列伝13:ルドヴィグ・ツェラー(鼓直)、表紙画:高橋
芙実。

【映画日記】
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 なんだか見たい映画が目白押しで、映画館に住み込みたいぐらいです。
 さて、8月に観た映画は、

  1.シン・ゴジラ      8.トランボ・ハリウッドに最も嫌われた男
  2.映画よ、さよなら       9.ニュースの真実
  3.健さん!          10.ヒマラヤ地上8000メートルの絆
  4.栄光のランナー       11.神のゆらぎ
  5.放浪の画家ピロスマニ    12.シング・ストリート未来へのうた
  6.ストリート・オーケストラ  13.奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ
  7.めぐりあう日        14.ダーティ・コップ

 「シン・ゴジラ」は、なかなか意味深で一回ぐらいでは分かり難い作品。
 「放浪の画家ピロスマニ」映像がそのまま美術館にいるような出来で、肉厚
な作品。「神のゆらぎ」ダニエル・グルー監督、グザビエ・ドラン主演のカナ
ダ作品。末期の白血病を患うエホバの信者をめぐる作品。繊細で、ちょっと残
念。簡単に助かるのにどうして医療を信じないのだろうかと。
 「トランボ・ハリウッドに最も嫌われた男」「ニュースの真実」「栄光のラ
ンナー」とてもおすすめ。「健さん!」長いこと外国暮らしをしている監督か
ら見た高倉健の姿は、見応え十分。いい男は亡くなってもいい男ですね。

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 とにかく9月早々、台風の被害には目を覆うばかりです。子供の頃、台風と
いえば九州で、その通り道の土地の復旧も手馴れたもんだということを聞いた
ことがあります。でもこの頃、台風はコース変更したかのように、本州をまっ
すぐ北へ北へと登って行くようになっています。北国の方は雪には強いが、台
風には不慣れ? でも、あの強風と大雨は人知の及ばないもの。
 AIとかいうの技術も進んでいるのに、台風の誘導技術が発展してくれるこ
とを、切に切に祈ります。あの雨水も強い風も、なにかうまく利用できないも
のでしょうか。

 映画「健さん!」が、モントリオール映画祭のドキュメンタリー部門の最優
秀賞に輝きました。日比遊一監督は当店にもよくおいでの方なので本当に喜び
も一入です。本当におめでとうございます!

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         十月通信  2016.09.10 第109
発 行:「Bar 十月」 くぼたかずこ
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営業日:月曜~土曜 17時~24時(土曜は1924時)
     日曜・祝祭日は休みます。

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十月通信5月号

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