2014年2月13日木曜日

十月通信2月号

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       「十月通信」  2014.02.10 第078号

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 みなさま、いつも御贔屓ありがとうございます。
 如月は底冷えのする季節ですが、まだまだ東北は瓦礫の山が減りません。仮
設住宅も雪に耐え忍んでいることでしょう。決して忘れないで欲しいです。
 節分、立春と、季節の巻物にある楽しい漢字がどんどんひろげられる時期で
す。みなさまの心の巻物には、どんな絵や物語が描いてありますでしょうか。
 ソチ冬季オリンピックも楽しみですね。
 さて、今月のわたしの歌。

 ♪ 吹雪く日におもいだす歌亡き父が口遊んでた雪の降る街を
 ♪ 歌舞伎町ふんわりしっとり雪化粧ひさかたぶりに口紅をひく
 ♪ 粉雪が過去の記憶をよびさます囲炉裏にかざす義母の手寒し
 ♪ 雪深く蔵にひっそり隠れてる赤漆(うるし)の盆と白磁の茶碗

 つい先日、東京に降った大雪は過去の旅へと案内してくれました。過去、現
在、そして未来へと繋がる想い。そんな時の歌です。粉雪が舞うと演歌の気分
になって、ときたま窓を開けての夜は喜怒哀楽を冷凍保存しているかのようで
した。

■【好きな歌】
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 ♪ まだ咲いてゐるぞ連翹(れんぎょう)いますこし狂ってゐたい人生である
                 時田則雄「十勝劇場」平成3年

 時田則雄(ときたのりお)。昭和21年、帯広生まれ。帯広畜産大卒、農業を
しながら風土に根ざした歌をつくっている。
 春先の北海道に咲く連翹はおそらく強烈な黄色で、そのくせゆらゆらとして
いるようなみずからを重ねて、なにかに一所懸命になっている彼の吐く息を感
じます。

 以前も歌集「北方論」を取り上げたことのある、土の匂いがする歌人。以下
の歌も、自分で耕した土に生きている誇りのようなものが感じます。
 ギロチンプレス。これはちょっとこわい、反面、いさぎよいイメージを引き
出す言葉ですね。
 ♪ 水芭蕉白くかがよふ徒ならぬ男といふをひとり宿せる
 ♪ ギロチンプレスされし自動車斑なるひと塊の鉄にもどれり
 ♪ 国際化せし東京の胃袋に届けむ露に濡れしアスパラ

■【「Bar十月」作品展】
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◎多賀谷無人作品展「A glass」:2月1日(土)~15日(土)
 「‥‥今でも英文のタイトルの冠詞を付けるか判らない時があります。glass
はガラスが製品化されたものだからa glassにしてみました。」

◎ソンヨンジュ個展「Inspiration of Music」:2月17日(月)~28日(金)
 音楽からインスピレーションを受けつつ制作された作品を十点ばかり展示し
ます。ソンヨンジュさんは韓国からの留学生、美大修士コース在学中。

 2月は、
 ◎岩出靖彦写真展「東京水景」:3月1日(土)~15日(土)
 ◎西村覚写真展「季の瞬き」:3月17日(月)~31日(月)

■【日本酒の会】
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 2月・第102回日本酒の会は「青森県のお酒」です。
 候補酒は、岩木正宗(北津軽郡板柳町)、菊駒(三戸郡五戸町)、駒泉(上
北郡七戸町)、じょっぱり(弘前市)、亀吉(黒石市)、松緑(弘前市)、安
東水軍(西津軽郡鰺ヶ沢町)‥‥。

 2月22日(土) 午後7時頃~、当店「Bar十月」で。
 会費は2,500円、酒肴付。
 おもに地元のみ流通の、おいしいお酒が登場します。うるさい薀蓄なし。初
めての方、大歓迎!
 3月は「静岡県」、4月は「京都府」のお酒の予定。
 皆様、いっしょに、おいしいお酒を飲みましょう。

■【お知らせ】
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◎『百花十月』第3号(2013年12月20日発行)、好評発売中。若干残部あり。
 poetry:螺子巻き(竹尾春葉)、mystery:深夜プラマイ0(歌堂敏彦)、
ラテンアメリカ前衛詩人列伝[3](鼓直)。¥150

◎『百花十月』第4号(2014年2月20日発行予定!)。¥150
 poetry:空まで飛べる(竹上妙)、sketch:ツヅミタダシさんのこと(川村佳
彦)、essay:伊勢神宮式年遷宮と芭蕉(佐藤呑亀)、ラテンアメリカ前衛詩人
列伝[4](鼓直)。¥150


■【映画日記】
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 なんだか見たい映画が目白押しで、映画館に住み込みたいぐらいです。
 さて、1月に観た映画は、
  1.フォンターナ広場      11.旅人は夢を奏でる
  2.鉄くず拾いの物語      12.和ちゃんとオレ
  3.ドラッグ・ウォー      13.アンビリーバブル・トゥルース
  4.ブラインド・ヒアー     14.七番房の奇跡
  5.ソウルガールズ       15.御手洗薫の愛と死
  6.利休にたずねよ       16.なんちゃって家族
  7.さよなら・アドルフ     17.メイジーの瞳
  8.皇帝と将軍         18.アイムソー・エキサイティング
  9.ルードヴィヒ        19.グウォーさんの仮装大賞
 10.危険な関係         

 「フォンターナ広場」はこの頃の〝秘密保護法〟をすぐに思い出し、ちょっ
と不気味な掲示。
 「ソウルガールズ」は、なかなか痛快で、さらっと差別を取り上げていて、
アボリジニの少女達がベトナムへ慰問した実話。彼女達の懸命さに感動。
 「グウォーさんの仮装大賞」は中国の老人ホームでの話。日本の某TVがや
っている仮装大賞が中国で催されているのにまずびっくり。老人ホームのあり
方は世界共通です。
 「メイジーの瞳」、離婚夫婦のあいだを、振り子のように行ったり来たりす
る少女の話。子供にとって何が一番幸せなのかを考える作品。血縁以上の者の
存在を実感します。子供服のなんと可愛いことか。衣装がどれも素敵。
 「鉄くず拾いの物語」は、健康保険が無いことによる顚末。つくづく保険制
度のありがたさを実感。

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 編┃集┃後┃記┃
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 先月、当店に、韓国の大学で日本の源氏物語を教えているという女性が見え
ました。私でもチンプンカンプンの古文を教えているというその方は、なにか
不思議な光を帯びているようにさえ見えました。文化のやりとりといったよう
なことも思いました。とにかく、その夜は、美酒爛漫でした。
 箱根湯本にある「平賀敬美術館」に、十月なじみの絵描きさんたちが展示し
てましたので見てきました。明治時代後期に建造され、元勲たちも逗留したと
いう邸宅をそのまま美術館にした空間には、常設の平賀敬さんの作品も観るこ
とができ、新旧の絵画がパーティーをしているようでした。
 天然温泉も利用できます。箱根湯本の駅から7分あまり。

 昨年に続いて当店十月での、梅津和時さんのサキソフォン・ライブは、とて
も素晴らしかったです。おいで下さった方、本当にありがとうございました。

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         十月通信  2014.02.10 第078号
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     17時~24時(土曜・祝祭日は19時―24時)
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