2011年5月14日土曜日

十月通信・五月号

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      「十月通信」  2011.05.10 第045号

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 みなさまこんにちは。いつも御贔屓ありがとうございます。
 先日の大震災以来、たくさんの方の気持が、萎えてしまったような気がしま
す。みなさんは持ちこたえていらっしゃいますか?

 いくら寄付をしても足りない損害ですが、そんな中、台湾の方々の140億
円以上という、膨大な寄付金には眼を見張るばかりです。
 数年前に観た映画、「台湾人生」を思い出します。
 スクリーンの中の、日本人より日本人のような、素敵で、律儀で、なおかつ、
恩義を忘れない人びとの映像が頭をよぎりました。戦後数十年たっても、恩師
であった日本人教師の墓参に、毎年千葉を訪れる男性。そんな方々が、今回の
寄付金の原動力になっているのだと思います。本当に頭が下がります。謝謝台
湾!! 本当にありがとう。日本国はキチンと、声を大にしてお礼を言って欲
しいです。
 先月号でも触れましたが、江戸っ子の心意気の無さにはがっかりですね。浅
草も神田も、威勢良く、ワッショイ、ワッショイ!! やって欲しかった。相
馬野馬追や仙台の七夕など、被災地の方たちが、自ら伝統の祭りを行おうとし
ているというのに。
 東北支援は長い道程です。皆さんも心にしっかり留めておいて下さいね。
 さて、今月のわたしの歌。

 ♪ 酒場とはカミングアウトするところ? ワタシほんとはオトコなの
 ♪ また今日も話題は津波午後九時に余震三回やよいの夜更け

 酒が入るとついつい、自分の真の姿を打ち明けたくなるものです。そう、
聞いて欲しくなるのです。いろんな方がいらっしゃいます。
 三月の地震以来、津波の怖さに話題がしばしばです。そんな時に余震が。
早く、平穏な日々が来るのを願います。


■【好きな歌】
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 ♪ 真命の極みに堪へてししむらを敢へてゆだねしわぎも子あはれ
                 吉野秀雄『寒蝉集』昭和22年

 吉野秀雄(よしのひでお 明治35~昭和42)は高崎市生まれ。肺結核のた
め、慶応義塾大学中退。会津八一に出会って、師事します。戦後、鎌倉アカデ
ミアの教師となりました。
 真命の極み~は、みずから肺疾でくるしみながらも、胃ガンで亡くした妻、
はつ子の死への、慟哭の歌である。このとき、昭和19年、吉野秀雄43歳、
はつ子42歳。
 ♪ これやこの一期のいのち炎立ちせよと迫りし吾妹よ吾妹
 ♪ をさな子の服のほころびを汝は縫へり幾日か後に死ぬとふものを

 これやこの~は、死の前日の夜のことだそうです。「こんな死ぬばかりのか
らだになっても……。」妻はつ子の最期の時がすさまじく、この真剣、この厳
粛が胸を打ちます。次男、壮児(1933年 - 1993年)は翻訳家で、筆名森珠樹。


■【「Bar十月」作品展】
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◎「新宿の人」又村統作品展: 5月 2日(月)~31日(火)
 新宿ゴールデン街や2丁目界隈を徘徊している人、店主などを描いた作品を
展示しています。絵の中の人となった方々、みなさん、顔なじみの方ばかりで、
おもわずにやっとしてしまいました。

 ▼6月は、白川雅啓さんの作品を展示します。


■【日本酒の会】
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 5月の日本酒の会は、「岐阜県のお酒」です。
 候補酒は、小左衛門(瑞浪市)、蓬莱(飛騨市)、御代桜(美濃加茂市)、
達磨正宗(岐阜市)、花盛(加茂郡八百津町)、奥飛騨(下呂市)、天領(下
呂市)、久寿玉(高山市)‥‥。

 5月28日(土) 午後7時頃~、当店「Bar 十月」で。
 会費は2,500円、酒肴付。どうぞ皆様、お気軽にご参加ください。

 6月は「長野県」、7月は「神奈川県」、のお酒の予定。


■【おしらせ】
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◎緊急なお知らせ。
 ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2か
月」放送日時:NHK教育テレビ5月15日(日) 22:00~23:30

 放射能汚染地図を作成してゆくプロセスを追いながら、原発災害から避難す
る人々、故郷に残る人々、それぞれの混乱と苦悩をみつめた2か月の記録。
 ディレクターの七澤潔さんは、チェルノブイリ事故、そして東海村臨界事故
を追い続けてきたそうです。あらすじを読んだら、とても興味深い内容なので、
もし時間がありましたら‥‥。
 http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0515.html


■【映画日記】
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 なんだか見たい映画が目白押しで、映画館に住み込みたいぐらいです。
 さて、4月に観た映画は、
   1.ザ・ファイター     10. 婚前特急
   2.SOMEWHERE      11. キラー・インサイドミー
   3.津軽百年食堂      12. 戦火のナージャ
   4.クレアモントホテル   13. ダンシング・チャップリン
   5.蜂の旅人        14. メアリー&マックス
   6.ヤンヤン 夏の想い出   15. 愛しきソナ
   7.シリアスマン      16. サラエボ・希望の街角
   8.ザ・ライト       17. ブルー・バレンタイン
   9.トスカーナの贋作    18. キッズ・オールライト

 「クレアモントホテル」は、とにかく、淡々とした時の流れが素晴らしい。
ホテルを終の住処として暮らす老人達、私設老人ホームのようだ。今までの、
誰々の妻や母といった暮らしから、最後に、誰にも拘束されず、自分だけのた
めに生きたいという主人公の気持がよく判る。偶然知り合った若者に看取られ
るのですが、家族のない人への応援歌のよう。世の中、捨てたもんではありま
せん。
 「蜂の旅人」はなんといっても、絵はがきのように美しい映像が流れる中、
自分の飼っている蜂に、自らの命の終わりを手伝わせているシーンに息をのみ
ました。音楽が静かに寄り添っているかのようです。
 「キラー・インサイドミー」は、主人公の潜在している凶悪な部分が、突如
として出るという、少々怖い、心理的サスペンス。これがなかなか面白く、見
応え充分でした。
 「キッズ・オールライト」、これからこんな家庭もあるのかな、と思わせる
作品。何か身につまされる部分もたくさんあって、面白い作品。
 ロシアのニキータ・ミハイルコフ監督「戦火のナージャ」もお勧めです。


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編┃集┃後┃記┃
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 5月1日の日曜日、小雨の中、山田脩二さんの写真集出版記念会が、中野富
士見町にあるスペースで、田中泯さんの司会と踊りを交えて行われました。
 山田さんが撮ってきた、今回の震災の惨状、光景をスクリーンに大きく映し
出していき、その前で田中泯さんが、映像にからむように踊りました。さなが
ら3Dを観ているかのようであり、モノクロの映像と一体になった時には荘厳
な気持になりました。小雨降る中、静謐な雨の匂いを嗅ぎながら帰ってきまし
た。
 つくづく、震災は長い長い時間を要して、日本全体で治癒せねばならないと
おもいました。みんなが少しずつ肩に背負って歩みたいですね。

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         十月通信  2011.05.10 第045号
●発 行:「Bar 十月」 くぼたかずこ
     〒160-0021新宿区歌舞伎町1-1-10 tel.03-5272-1171
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     17 時―24 時(土曜・祝祭日は19 時―24 時)
     日曜は休みます。
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○「Bar 十月」紹介ページブログ:http://ju-ga-tsu.blogspot.com
             HP: http://sites.google.com/site/kkmoravia/

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